abhyAsaH

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星はそこにいる

夜空ひしめく星の中からただ一つ君を見つけられる。
何等星とか、距離とか、方角とか、あたしにはさっぱり。
君は素早く空を指し、星を教えてくれる。
あたしは本と空を交互に見て、目を細めて、首を傾げた。
それでもわかる。
あれは君の星。
君が一番好きだという星は、青白くて、小さくて、他と大して変わらない。
あたしは君が見上げる前にその星を指す。
そうするといつもの得意げな顔がはにかんで笑うんだ。
きっと君がどこにいたってわかるよ。
どこにだっている普通の星。
あたしだけの星。