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おでかけ日和

まあ!どしゃぶりですわ!
こういう日にはおでかけをしましょう。
お気に入りの傘の雨舞台。
人が少なくて落ち着きます。
天然のモノクロ写真。
百の雨の歌声。
雨はおでかけ日和です。
髪がまとまらないのも愛おしい。
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馬車馬だった

朝食に一時間かけている。
この時間は怖いくらい美しい。
ぽっかりと空いている記憶がある。
何かあったはず。
思い出すと苦しい。
時間は戻ってこないと思う。
手足は今も鈍い。
頭はずっと夢を見ている。
いつかは目覚めなければ。
いつかって、いつ。
洗い物もしないままじっと座っている。
馬車馬だった。
今は、なんだ。
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病院帰り

病院に行って風邪を引くなんてバカみたい。
いつぶりかもわからない体の重さ。
夢で延々とふくろうのブレイクダンス。
憎さ余ってかわいさ百倍。
あれ、逆だっけ?
バカになったことも忘れるくらいバカになる。
おだいじに、私。
誰も言ってくれないことすら笑えてくるぜ。
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正解なき正解

模範解答が百通りある問題。
模範解答通りなら0点の問題。
誰よりも定義に忠実で誰よりも自由でなくてはいけない。
普通の人なら解く気はしない。
私なら解ける。
私が次の模範解答になる。
誰もが真似して0点を取りたくなる答えになる。
たとえそれが千年後でも。
誰かの答えになれるなら。
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影の人

影から出てきた人。
浮いているのは真っ黒いからだけじゃない。
無口で理屈っぽい。
きっと目を見てしゃべっていない。
でもかわいい。
ベンチで黒猫と並んでいたのを私は知っている。
お弁当のからあげを奪われていた。
お菓子をあげるとチマチマかじって食べていたのを忘れない。
影の人。
君は意外とひなたぼっこが好き。
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薬船

こんなちっちゃいものに私の運命ってかかっているんですね。
錠剤、カプセル、粉薬。
決まった時間と水道水。
不自由をごまかし続ける人生。
飲み忘れたなら、と思うけど。
どうせすぐには死ねないから。
小さい船に乗って大海を行く。
港まで八十年、あればいいね。
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歯が抜ける夢

スピリチュアルなんか信じてないけど夢占いは見る。
歯が抜ける夢は気力の低下。
はぁ。
ダジャレにツッコむ気も起きない。
知らん誰かのサイトが言うので今日は店じまいです。
でも布団に入ろうとして飛び起きた。
歯は磨く。
こういうとこが疲れるんじゃないかなぁ。
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卵を落としてやる

卵を床にたたきつけたいと思うことはおかしいですか。
あーあ、あーあ、あーあ。
膝から崩れ落ちた後のことを考えても卵を握りしめている。
想像して。
終わらせて。
うっかり落としたんだって本当に言い訳するのがお似合いだ。
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二つあるもの

愛憎。
陰陽。
真贋。
君と僕。
二つあるもの。
混じり合うもの。
混じり合わないところ。
だから二つある。
一つになろう。
許せないから。
君が愛すること。
君が光ること。
君が正しいこと。
君に僕があること。
憎しみが、闇が、嘘が、僕が。
君を飲み込んだとしても。
それでも、二つあることを信じている。
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うさぎ被りの干支野郎

あいつがうさぎなんて絶対嘘。
猛獣みたいに私を狙う。
みんな騙されてる!
私はたつ年。
あいつとは何かと因縁がある。
席が隣、一位と二位、上と下。
あいつが何かで追い越す度言う。
「たつ年なのに」
その半笑いがムカつく!
泥臭いことしてんの、知ってんのよ。
今に見てなさい、このうさぎ被り。
必ず負かせてやる。
謝りながら好きだと言わせてやる!