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無駄の人生

白い部屋に机と布団。
これだけあれば十分。
持てるものだけ持つ。
使うものだけ持つ。
物も人も同じ。
シンプルな話だ。
僕から見れば、君は無駄ばかり。
部屋の限界まで飾り付ける。
思い出せない思い出の品。
無限に増える交友関係。
でも、君は楽しそうだ。
つきつめれば人生は無駄だ。
だから人それぞれに無駄の集め方がある。
僕はこの手に持てるだけ。
君は愛したいだけすべて。
素敵な無駄の人生をしよう。
ただ、部屋は片付けた方がいいよ。
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長い目ののっぽさん

整列した頭からちょうど一つ抜けている。
長い目ののっぽさん。
ゴムでまとめた長い髪。
スカートの裾は皆とそろう。
後ろの角が指定席。
お弁当箱は銀色。
趣味は映画鑑賞。
映画のチケットを渡した。
後列の角を二つ。
長い目が少し引く。
小さくて薄い唇で笑う。
君は長い目ののっぽさん。
僕も長い目ののっぽさん。
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アナザーハピネス

もう一人の私の人生が見える。
私が不幸なとき、決まってあなたは幸せだった。
入れ替えて、と願う。
そして入れ替わる。
何度も何度も。
私の人生ほど上手くいったものは無い。
だというのに、なぜ。
あなたは笑っている。
目が合った。
「あなたが幸せなら、私、幸せよ」
……あなたって本当に私なんだわ。
身勝手で残酷。
人生は入れ替わろうと、心は入れ替わらない。
二度と手に入らない幸せが笑っていた。
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ギリギリの生き方

ゴールラインはいつも僕のそばにある。
踏切、ベランダ、引き出し奥の縄。
死というゴールは君のそばにもある。
君は気にしないだけで。
いつだってゴールできると思って生きるのがコツ。
決して他人のゴールを気にしてはいけない。
他人がゴール前を通り過ぎても、僕は僕のゴールをじっと見ている。
ゴールから目が離せずに乾いた目に涙が出てこなくてもいい。
ゴールはそこにある。
だから、背を向ける。
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逆さ桜

逆さ桜の季節です。
空から伸びる桜の大樹。
地上に枝が刺さって登れるようになっている。
春はお花見にちょうどいい。
枝によっては登山ならぬ登木になるらしい。
誰も頂上を知らない。
「でも、頂上辺りは幹になるから、花が無くてつまらないね」
君の言葉になるほどと思う。
空の上は天国だと言う。
天国の人は花が見たくて降りてくるんだろう。
だからこうして君に会える。
私的には、地上側が花でいいかな、なんてね。
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未完成の完成品

まだ足せる気がする。
まだ削れる気がする。
創作はずっとこう。
完成なんて無い。
限界があるだけ。
まだ足せるのに。
まだ削れるのに。
手が届かなくて筆を置く。
未完成の完成品。
君はこれを美しいと言う。
そして少し救われる。
そして少し悔しがる。
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レトロゲームはスマホだった

ゲーム機の小さい画面に映った写真。
スマホにモザイクをかけたような画質。
私のスマホはこれだった。
フィルタリングガチャ。
誰かの足跡。
君に送ったメッセージ。
今じゃレトロゲームだ。
記憶が思い出になる瞬間を知る。
一枚、写真を撮った。
君は、今だよ。
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胸痛と破裂

美しい言葉でごまかさないで。
恋の病という不定愁訴。
毎日胸が重い。
あなたの顔を見ると嫌になる。
あなたばかりが美しい。
私が死んだらあなたのせいです。
きっと心臓を締め付けすぎて体ごと破裂する。
眼前で死にます。
ぐちゃぐちゃの私があなたに貼り付く。
その姿を目に浮かべて、少し胸がすいた。
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その言葉は「愛してる」

枝の束を頭から被ったような見た目。
木の体は動くとカサカサ音がする。
これが僕の友達。
普段は無口、でも実はおしゃべり!
スキンシップが好きだけど、枝が引っかかるから控えてる。
そんな君が好き。
君の国の言葉はよくわからない。
けど君が紡ぐ乾いた木の音色が心地いい。
最近、君がよく使う言葉を覚えてきた。
僕も同じ言葉を返したくて、覚えた言葉を一つ言ってみた。
しなやかな笛のような音。
君は、少し固まった。
指を僕の肩におそるおそる置く。
僕がじっとしていると、腰に手を回して抱きしめてくれた。
そうして同じ言葉を返してくれる。
僕も抱きしめ返した。
わかんないけど、ちょっとわかる。
これはきっと友達に言う最上位の褒め言葉だ!
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漫画未満漫画

日常系四コマ漫画よりつまらないのが俺。
一コマ一月でも内容が足りない。
ギャグ漫画からギャグをとった筋書。
自分の人生の主役は自分じゃない方が面白い。
だからって、俺のページに入ってくるな。
なんなんだお前。
一日一巻でも話が収まらない。
同じコマにいると作画密度が違いすぎる。
手を握んじゃねぇ、遠近法が死ぬ。
ほんと、止めろよ。
俺を人生の主役にするな。
お前の作画を俺に寄せるな。
お前の筋書を俺に寄せるな。
人生の主役を俺に譲るな。
俺が一番の読者だったんだよ。