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日常に戻る

変わらない日常なんてこんなもの家庭の味とささやかなミス
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旅の終わり

家が好き旅の布団は船の上絨毯すらも家ではベッド
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夜の波音

波音が窓の方から鳴っている波打ち際の重いと浅い
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空白の時刻表

空白の時刻表を貰った。
電車に乗った時刻が記録される。
それもありかと思った。
天地逆に入ってきた電車は空を走る。
むらさきとみどりの空。
こんなところでも時間は24時間制なんだ。
車掌に聞くと「宇宙標準だからね」と言った。
子午線はどこにあるんだろう。
いつか探してみよう。
空白の時刻表を埋める旅。
次の駅まで一年。
食堂の味に飽きないといいな。
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夢枕の子守歌

一度も聞いたことが無い子守歌を歌っている。
夢だった。
枕の側に座って頭をなでてくれる。
涙が止まらなくて眠れなかった。
早く寝なさい、と言う。
歌が終わってしまうじゃないか。
また歌うよ、と言う。
結局眠れないままに目が覚めてしまった。
寝ればよかった。
あなたの前で眠りたかった。
もう一度歌を聴きに行けばよかった。
ただ、まだ、泣いている。
起きることもできないまま眠ることもできなかった。
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長通話

今何時?それすら話題花が咲く通話料金タダの時代
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夏バテ

霊がいるそうでもなけりゃだめだろう冷える室内濃いコースター
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一歩の狂気

一年かけて一歩進む。
狂わなければやってられない。
百年先も月は同じ位置にある。
道筋を捉えた写真が誰かの家の額縁にありますように。
雪でかき消えたどこだかもうわからない足跡。
きっと誰かはわかっている。
そう深呼吸して、一年を待つ。
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一目惚れ

幸せな呪いにかかったんだ。
異常な発熱と神経麻痺。
同じ呪いをかけてあげる。
初恋、恋煩い、一目惚れ。
ドロドロの体で抱き合って一つになろう。
自分の形が無くなることを幸せと呼んだ。
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エアコンの外

蒸す廊下冷えた体を抱きしめる布団の中でエアコンの外