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ギリギリの生き方
ゴールラインはいつも僕のそばにある。
踏切、ベランダ、引き出し奥の縄。
死というゴールは君のそばにもある。
君は気にしないだけで。
いつだってゴールできると思って生きるのがコツ。
決して他人のゴールを気にしてはいけない。
他人がゴール前を通り過ぎても、僕は僕のゴールをじっと見ている。
ゴールから目が離せずに乾いた目に涙が出てこなくてもいい。
ゴールはそこにある。
だから、背を向ける。
踏切、ベランダ、引き出し奥の縄。
死というゴールは君のそばにもある。
君は気にしないだけで。
いつだってゴールできると思って生きるのがコツ。
決して他人のゴールを気にしてはいけない。
他人がゴール前を通り過ぎても、僕は僕のゴールをじっと見ている。
ゴールから目が離せずに乾いた目に涙が出てこなくてもいい。
ゴールはそこにある。
だから、背を向ける。
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逆さ桜
逆さ桜の季節です。
空から伸びる桜の大樹。
地上に枝が刺さって登れるようになっている。
春はお花見にちょうどいい。
枝によっては登山ならぬ登木になるらしい。
誰も頂上を知らない。
「でも、頂上辺りは幹になるから、花が無くてつまらないね」
君の言葉になるほどと思う。
空の上は天国だと言う。
天国の人は花が見たくて降りてくるんだろう。
だからこうして君に会える。
私的には、地上側が花でいいかな、なんてね。
空から伸びる桜の大樹。
地上に枝が刺さって登れるようになっている。
春はお花見にちょうどいい。
枝によっては登山ならぬ登木になるらしい。
誰も頂上を知らない。
「でも、頂上辺りは幹になるから、花が無くてつまらないね」
君の言葉になるほどと思う。
空の上は天国だと言う。
天国の人は花が見たくて降りてくるんだろう。
だからこうして君に会える。
私的には、地上側が花でいいかな、なんてね。
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未完成の完成品
まだ足せる気がする。
まだ削れる気がする。
創作はずっとこう。
完成なんて無い。
限界があるだけ。
まだ足せるのに。
まだ削れるのに。
手が届かなくて筆を置く。
未完成の完成品。
君はこれを美しいと言う。
そして少し救われる。
そして少し悔しがる。
まだ削れる気がする。
創作はずっとこう。
完成なんて無い。
限界があるだけ。
まだ足せるのに。
まだ削れるのに。
手が届かなくて筆を置く。
未完成の完成品。
君はこれを美しいと言う。
そして少し救われる。
そして少し悔しがる。
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レトロゲームはスマホだった
ゲーム機の小さい画面に映った写真。
スマホにモザイクをかけたような画質。
私のスマホはこれだった。
フィルタリングガチャ。
誰かの足跡。
君に送ったメッセージ。
今じゃレトロゲームだ。
記憶が思い出になる瞬間を知る。
一枚、写真を撮った。
君は、今だよ。
スマホにモザイクをかけたような画質。
私のスマホはこれだった。
フィルタリングガチャ。
誰かの足跡。
君に送ったメッセージ。
今じゃレトロゲームだ。
記憶が思い出になる瞬間を知る。
一枚、写真を撮った。
君は、今だよ。
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胸痛と破裂
美しい言葉でごまかさないで。
恋の病という不定愁訴。
毎日胸が重い。
あなたの顔を見ると嫌になる。
あなたばかりが美しい。
私が死んだらあなたのせいです。
きっと心臓を締め付けすぎて体ごと破裂する。
眼前で死にます。
ぐちゃぐちゃの私があなたに貼り付く。
その姿を目に浮かべて、少し胸がすいた。
恋の病という不定愁訴。
毎日胸が重い。
あなたの顔を見ると嫌になる。
あなたばかりが美しい。
私が死んだらあなたのせいです。
きっと心臓を締め付けすぎて体ごと破裂する。
眼前で死にます。
ぐちゃぐちゃの私があなたに貼り付く。
その姿を目に浮かべて、少し胸がすいた。
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その言葉は「愛してる」
枝の束を頭から被ったような見た目。
木の体は動くとカサカサ音がする。
これが僕の友達。
普段は無口、でも実はおしゃべり!
スキンシップが好きだけど、枝が引っかかるから控えてる。
そんな君が好き。
君の国の言葉はよくわからない。
けど君が紡ぐ乾いた木の音色が心地いい。
最近、君がよく使う言葉を覚えてきた。
僕も同じ言葉を返したくて、覚えた言葉を一つ言ってみた。
しなやかな笛のような音。
君は、少し固まった。
指を僕の肩におそるおそる置く。
僕がじっとしていると、腰に手を回して抱きしめてくれた。
そうして同じ言葉を返してくれる。
僕も抱きしめ返した。
わかんないけど、ちょっとわかる。
これはきっと友達に言う最上位の褒め言葉だ!
木の体は動くとカサカサ音がする。
これが僕の友達。
普段は無口、でも実はおしゃべり!
スキンシップが好きだけど、枝が引っかかるから控えてる。
そんな君が好き。
君の国の言葉はよくわからない。
けど君が紡ぐ乾いた木の音色が心地いい。
最近、君がよく使う言葉を覚えてきた。
僕も同じ言葉を返したくて、覚えた言葉を一つ言ってみた。
しなやかな笛のような音。
君は、少し固まった。
指を僕の肩におそるおそる置く。
僕がじっとしていると、腰に手を回して抱きしめてくれた。
そうして同じ言葉を返してくれる。
僕も抱きしめ返した。
わかんないけど、ちょっとわかる。
これはきっと友達に言う最上位の褒め言葉だ!
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漫画未満漫画
日常系四コマ漫画よりつまらないのが俺。
一コマ一月でも内容が足りない。
ギャグ漫画からギャグをとった筋書。
自分の人生の主役は自分じゃない方が面白い。
だからって、俺のページに入ってくるな。
なんなんだお前。
一日一巻でも話が収まらない。
同じコマにいると作画密度が違いすぎる。
手を握んじゃねぇ、遠近法が死ぬ。
ほんと、止めろよ。
俺を人生の主役にするな。
お前の作画を俺に寄せるな。
お前の筋書を俺に寄せるな。
人生の主役を俺に譲るな。
俺が一番の読者だったんだよ。
一コマ一月でも内容が足りない。
ギャグ漫画からギャグをとった筋書。
自分の人生の主役は自分じゃない方が面白い。
だからって、俺のページに入ってくるな。
なんなんだお前。
一日一巻でも話が収まらない。
同じコマにいると作画密度が違いすぎる。
手を握んじゃねぇ、遠近法が死ぬ。
ほんと、止めろよ。
俺を人生の主役にするな。
お前の作画を俺に寄せるな。
お前の筋書を俺に寄せるな。
人生の主役を俺に譲るな。
俺が一番の読者だったんだよ。
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締め切りから飛び立つ
柵に足をかけて踏み込めば人は鳥になって飛んで行ける。
私がそう言うと、「そういうことを書けばいいんですよ」と返された。
真っ白の画面。
目をそらした先で窓の前を君が遮った。
「鳥にはさせませんよ」
朗らかな顔をして、見透かした目。
「私が鳥になったら君は困るだろうね」
「そしたら僕も鳥になります」
先生が小鳥なら、僕はタカかな、なんてニヤリ。
私は苦笑する。
鳥がダメなら飛行機になろうかな。
そしたら君は、何になるかな。
私がそう言うと、「そういうことを書けばいいんですよ」と返された。
真っ白の画面。
目をそらした先で窓の前を君が遮った。
「鳥にはさせませんよ」
朗らかな顔をして、見透かした目。
「私が鳥になったら君は困るだろうね」
「そしたら僕も鳥になります」
先生が小鳥なら、僕はタカかな、なんてニヤリ。
私は苦笑する。
鳥がダメなら飛行機になろうかな。
そしたら君は、何になるかな。
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星はそこにいる
夜空ひしめく星の中からただ一つ君を見つけられる。
何等星とか、距離とか、方角とか、あたしにはさっぱり。
君は素早く空を指し、星を教えてくれる。
あたしは本と空を交互に見て、目を細めて、首を傾げた。
それでもわかる。
あれは君の星。
君が一番好きだという星は、青白くて、小さくて、他と大して変わらない。
あたしは君が見上げる前にその星を指す。
そうするといつもの得意げな顔がはにかんで笑うんだ。
きっと君がどこにいたってわかるよ。
どこにだっている普通の星。
あたしだけの星。
何等星とか、距離とか、方角とか、あたしにはさっぱり。
君は素早く空を指し、星を教えてくれる。
あたしは本と空を交互に見て、目を細めて、首を傾げた。
それでもわかる。
あれは君の星。
君が一番好きだという星は、青白くて、小さくて、他と大して変わらない。
あたしは君が見上げる前にその星を指す。
そうするといつもの得意げな顔がはにかんで笑うんだ。
きっと君がどこにいたってわかるよ。
どこにだっている普通の星。
あたしだけの星。
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夢菓子箱制作依頼
君だけのお菓子箱を作る仕事なんだ。
バクのクッキー、海のソーダあめ、雲と宝石のスモア。
手のひらより少し大きい箱にお菓子を敷き詰める。
そうしたら、夢の中へ贈ってあげる。
「食べるのがもったいない」
それは褒め言葉だけど、お気持ちだけ。
どうぞ朝になる前に。
目が覚めるまでが消費期限。
夢のお菓子を召し上がれ。
バクのクッキー、海のソーダあめ、雲と宝石のスモア。
手のひらより少し大きい箱にお菓子を敷き詰める。
そうしたら、夢の中へ贈ってあげる。
「食べるのがもったいない」
それは褒め言葉だけど、お気持ちだけ。
どうぞ朝になる前に。
目が覚めるまでが消費期限。
夢のお菓子を召し上がれ。