abhyAsaH

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間に合うか

間に合うか全巻読破期限前無料期間と俺の原稿
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湖の穴の底

これが暗い穴になることが信じられる?
穏やかな波音が底の呼び声になる夜。
どこに落ちてもおかしくない天地。
湖の底に沈んだ何かが手招きをしている。
足を滑らせなさいと言う優しい呪いが聞こえる。
だというのに、今は。
薄い青の下できらめく水面を白鳥が泳ぐ。
私はそれが一番おそろしい。
穴はすぐ近くにいる。
昼の姿をした夜が、そこにいる。
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全体像

地図広げ建国のペン走らせる頭の中ですでに千年
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星空によぎる

星空によぎる蚊の音手を叩き空の上ならいないと淡く
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集中しすぎ

風呂忘れ食事を忘れ早三時朝のおやつが胃に響く
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速いよ

高速道路の真ん中に突っ立っている気分。
みんな私を追い抜いてしまう。
叫び声も上げられない。
誰も止まらない、助けてくれない。
綱渡りのように歩き出す。
ICにもたどり着かないまま死ぬ。
誰かの一年は私の十年。
歩かなければいけないから歩いているだけ。
泣きたくなるのをこらえている。
途中で下りられるならそうしたかった。
ただ一人私だけが高速道路を歩いていた。
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納得したいから

立ち止まったわけじゃない。
これは通過点。
何度だって結論を出していい。
本当の最後は死しか知らない。
一人で勝手に迷路に入る。
それは自分で道を選ぶため。
後悔しないため。
一度食べた毒でしか食べられないこと知れない私へ。
毒で死ぬまでは実験と呼ぶ。
食べた先でしか知れない感情になろうぜ。
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触れる低音

耳障り命の鼓動紙一重たぎる太鼓か工事現場か
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満足にはまだ

まだ早いにやつく口で口ずさむ頂見えるてっぺん気分
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刺す、高音

喉を潰すような声でしか伝えられない言葉がある。
刺す、高音。
もはや聞き取れないなら歌詞カードをどうぞ。
でもきっとあなたは、声を聞く。
波長は雄弁。
高音をノイズでぐちゃぐちゃにして。
浅いというのは若さの特権。
未熟というのは自由の経験。
歌を聞け。
ボロボロの喉が心の代わりに叫んでいるから。