カテゴリー: となりのクラスの知らないあの子は天使になったんだ
とな天短編小説『友食いのカマキリ』
2025年7月12日

概要 本編 親子が朝焼けの影になる。端の見えない湖一面に紅蓮が咲き誇り、黒蝶の大群が朝日を目指す。朝日から伸びる石畳を、坊主頭の大柄な父親と、うねるセミロングの小柄な少年が、手を繋いで歩いていた。父親が肩ごと頭を下げて話しかけると、少年は顔を上げてはつらつと返す。 僕は走り出し、 […]
とな天短編小説『蝶蓮獄』
2025年6月14日

概要 本編 紅蓮が一面に咲き誇る。紅蓮の庭と白い空が水平線で分かたれて、境目から日が昇る。日から遠ざかるほど藍が深まり、藍の中から黒い蝶の群れが飛んでくる。日が翅に映り、黒がきらめきながら明るい方へ舞う。 水に埋め込まれた石畳の道が太陽へ続いている。ボクはその上で立ちすくんでいた […]
とな天短編小説『そこに優しさがあるから』
2025年5月10日

概要 本編 老夫婦が振り返る。オレと目線が合わず、大きく上を向く。戸惑っている。二人とも春服を着込み、リュックを背負い、ハットを被っている。 オレは焼けた肌にTシャツ、真っ赤なズボン。ごつい、黒い、でかいリュック、背負えるだけの体格。眉間と鋭い目を広げて、明るい声で笑いかけた。 […]
とな天短編小説『偽善者』
2024年10月12日

概要 本編 黒く小さい手を組み、君は顎を引く。耳の上で切りそろえた黒髪が風に揺れた。長い前髪から伏せた目が覗く。結んだ唇に軽く力を乗せている。 校舎裏の片隅、フェンスの側。そこで君は地に膝を突いていた。眼前には頭ほどの大きさをした土の山がある。君が埋めた墓だ。 君ほど素晴らしい偽 […]
十月毎日小説執筆企画まとめ
2024年10月5日

概要 おごりがい 2024/10/01とな天 店内にいるのは、チャーハンをかき込むサラリーマンや酒をあおる老人。店に入るとき、煙草の匂いがした。店の中央の席を陣取る学生服のおれたちは浮いていた。 「ほら、好きなだけ頼め」利田先輩からメニューを手渡される。 九十とメニューを見る。ザ […]
とな天掌編小説集『短く永く』試し読み
2024年8月23日

概要 バス ヒサとバスに乗る。そわそわするヒサ。「降車ボタン、俺が押してもいい?」了承するとそっとボタンを押す。ベルが鳴り「おお!」と言う。「小説で見たことあって、押してみたかったんだ」他にも叶ったことがあるらしい。回数券を取る、車内放送を聞く、友達とバスに乗る。「今日だけで三つ […]
とな天短編小説『天使がいなければ』
2024年4月1日

概要 本編 九十九くとうひさしは大きくあくびする。褐色の腕を天井に振り上げて伸びをすると爪先が立つ。長い黒髪に手を突っ込んで頭をかく。西勇人にしゆうとは違和感を覚えた。 「九十、背が伸びたか?」 九十が西を見上げる。背も横幅もある西に対し、九十は小柄だ。だが年頃の青年らしく体に厚 […]
とな天短編小説『秘密』
2023年7月15日

概要 本編 「いってきます」 声が誰もいない家の中に響く。玄関扉のドアノブにかけた手を見て、学生服の袖が足りていないことに気がつく。中学校の制服が一年も経たずに寸足らずになった。黒井は黒髪を掻く。 玄関を出ると、ブロック塀に令城が寄りかかっていた。令城はスマホから顔を上げて軽妙に […]
パスワード公開:とな天公式二次創作短編集『まいにちを君と共に。』
2023年4月29日

『となりのクラスの知らないあの子は天使になったんだ』の公式二次創作です。黒井弥吉と令城談のコンビの話で、ジャンルは「肉体的接触の濃いブロマンス」です。
この短編集は、作者が個人的に行っていた毎日小説執筆企画「まいにち黒令」で執筆した短編小説七本を加筆修正してまとめたものです。
試験的にパスワード公開をしております。読みたい方がいらっしゃいましたら、お手数ですがDMやメールなどでパスワードをご請求ください。