とな天小ネタ『西勇人の誕生日』
前置き
八月三十日は西勇人の誕生日でした。
黒井同様、本編で誕生日を祝ったキャラクターは改めて祝わないつもりでした。しかし書きたい小ネタを思いついたので、書き残そうと思います。
解説
本編について
西の誕生日の話を本編に入れる案は開発初期から存在していました。
組み込んだ理由は色々ありますが、一番の理由は「なんでもない日常の話をするため」です。
九十はなんでもない日常を送りたいと望んでいました。しかし得ることは叶わず、またこの先得ることもありません(ED4以外)。そんな九十に最後少しでも日常の時間があってほしくて、物語の進行や分岐に何も関係ない話を入れました。
おそらく八月終わりまで物語を読み進めた方なら、同じように望んでいるはずだと思ったのもあります。救いがなさ過ぎると辛いので、少しだけ救いを残したいと思いました(逆に救いようの無さが際立ったかもしれませんが)。
西の誕生日は物語に無関係な話だと表現するため、プレゼントの選択肢は唯一エンディング分岐に関与しないようにしました。ただし開発初期はエンディング分岐に関与していました。
開発初期のとな天は、黒井・利田・令城の好感度を上げて一番高い人物のエンディングになるというシステムでした。そのため西の誕生日プレゼントにおいて、提案者のプレゼントを採用すると提案者の好感度があがる、という流れでした(例えばイヤホンを選ぶと黒井の好感度が上がります)。
最終的に好感度制ではなくなり、またエンディング分岐に関与しないという役割を選択肢に持たせたかったため、今の仕様になりました。
西と九十について
西がとな天世界に転生したことで起きた、九十にとって重要な(人生に関わる)出来事が主に三つあります。
- 八月二十七日の四人の会話
- 八月三十日の選択肢(分岐に関わる方)
- 九月一日の選択肢(電車に乗る・乗らない)
この三つの出来事のうち八月二十七日の会話は、一見西がいなくても起きそうですが、西が転生していない場合は起きません。
黒井と利田の口論を西の誕生日という話題で断ち切ることができず、黒井と利田は喧嘩別れしてその場を去ってしまったからです。
つまり九十が特に望んでいた「また四人で仲良くする」という願いが叶わなかったことになります。
九十は西がいたことで、(少しの間だけですが)願いを叶えることができました。
西は特別な能力があるわけでも、特徴的なキャラクター性があるわけでもありません。いたって普通の人です。
だからこそ、この世界と物語における日常の象徴であり、九十にとってすごく大事な存在です。
偶然について
西にまつわる偶然の出来事が二つあります。
- ゲームにおいて、上の選択肢だけ、または下の選択肢を選んで物語を進めると、必ずED4になる。
- とな天配布日と西の誕生日が同じ。
一つ目は、もしかするとすでに気がついていた方がいらっしゃるかもしれません。私は配布後に気がつきました。
裏設定として、「上はED3の結末を最も望んでいた。そしてED4の結末を最も避けたかった」というものがあります。ED3とED4の分岐条件はほぼ同じで、違いは「ED4のフラグが立っているかどうか」です。そしてED4のフラグが得られる選択肢は、西が転生していなかった場合は発生していなかった選択肢です。
これに気がついたとき、「ただ存在しているだけで国家組織の陰謀を瓦解させる男だ……」と一人で盛り上がってました。しかも偶然っていうのが西らしい(ただしED4がいい結末かはわかりません)。
二つ目は、ノベルゲームコレクションでの配布日のことです。八月二十九日にゲームが完成して、その日のうちにノベルゲームコレクションに申請しました。
そしたら一日で申請が受理されたので、偶然にも西の誕生日と配布日が同じになりました。
普通そうに見えて持ち前の豪運で人の運命に関与する男、それが西勇人かもしれません。人畜無害な顔をして恐ろしいですね。でもそういうところが好きです。