小説一覧
悪たし短編小説『いいよね』
2025年3月8日

概要 本編 抱えていたチョコの袋や箱を、バサバサとゴミ箱へ落とす。メッセージカードの束をちぎって捨てる。「黒永くんへ」「愛一へ」の部分は細かくちぎる。元の持ち主がわかると、なんでか返されたり、怒られたりする。だから学校に物を捨てるときは気をつけてる。 先生が使う方の玄関から校舎裏 […]
悪たし短編小説『生きていていいと言うために』
2025年2月8日

概要 本編 襟ごと首が持ち上げられ、頭が後ろへ倒れる。老人を見上げる。彼は白い眉でまぶたを潰し、歯を食いしばる。怒鳴り声が脳に響く。 「美貴を殺したのはあんたか?!」 老人は俺を揺らし、「答えろ」と怒鳴る。 俺たちの間をおばさんが割って入った。おばさんは老人を引き剥がす。 「お父 […]
愛まほ短編小説『師友』
2025年1月11日
概要 本編 死を見送った者の顔だった。眠そうな目にはくまが沈んでいて、私を見て柔らかく目尻を引いた。口は薄く笑っているのに、眉は少し困っている。黒いくせっ毛はいつもよりまとまりがない。 「おはようございます、店長」 佐久真旭君の第一声だった。私も「おはよう」と言った。それだけだっ […]
愛まほ短編小説『後悔』
2024年12月14日
概要 本編 魔方陣とは黒インクの編み物です。 ダイニングテーブルを覆い隠す紙には、縁から縁まで幾何学模様が描かれている。真円の中幾重にも編まれた均一な線は、全てわたしが描いたものだ。線は、分岐も含めれば、全て一本で繋がっている。 「美しい魔法だ」 テーブルを挟んで目の前に立つご老 […]
愛まほ短編小説『決意』
2024年11月9日
概要 本編 生きた死体だ。飯と便所以外は寝腐っている。 日ざしが痛くてとっくにカーテンは閉めた。ダンボールとゴミの山に囲まれてオレは倒れ込んでいる。押し入れに頭を突っ込んで薄い敷き布団を枕にする。押し入れが暗いか、もっと暗いかで昼夜を知った。 油の臭いが漂っている。廊下に転がって […]
とな天短編小説『偽善者』
2024年10月12日

概要 本編 黒く小さい手を組み、君は顎を引く。耳の上で切りそろえた黒髪が風に揺れた。長い前髪から伏せた目が覗く。結んだ唇に軽く力を乗せている。 校舎裏の片隅、フェンスの側。そこで君は地に膝を突いていた。眼前には頭ほどの大きさをした土の山がある。君が埋めた墓だ。 君ほど素晴らしい偽 […]
十月毎日小説執筆企画まとめ
2024年10月5日

概要 おごりがい 2024/10/01とな天 店内にいるのは、チャーハンをかき込むサラリーマンや酒をあおる老人。店に入るとき、煙草の匂いがした。店の中央の席を陣取る学生服のおれたちは浮いていた。 「ほら、好きなだけ頼め」利田先輩からメニューを手渡される。 九十とメニューを見る。ザ […]
とな天掌編小説集『短く永く』試し読み
2024年8月23日

概要 バス ヒサとバスに乗る。そわそわするヒサ。「降車ボタン、俺が押してもいい?」了承するとそっとボタンを押す。ベルが鳴り「おお!」と言う。「小説で見たことあって、押してみたかったんだ」他にも叶ったことがあるらしい。回数券を取る、車内放送を聞く、友達とバスに乗る。「今日だけで三つ […]
長編小説『悪魔の正しい死に方』
2024年7月27日

死んだはずの幼なじみ・黒永愛一が悪魔になって帰ってきた。安藤正継は死神から黒永の殺害を依頼される。悪魔は人を食べないと生きられない。だが人を食べて強くなりすぎた黒永を殺せるのは、もう安藤しかいない。黒永は言う。「この体さえあれば、キミをもう一人にしない」安藤は黒永を殺せずにいた。悪魔になった幼なじみを殺すまでを描く陰鬱ブロマンスサスペンスノベル。
とな天短編小説『天使がいなければ』
2024年4月1日

概要 本編 九十九くとうひさしは大きくあくびする。褐色の腕を天井に振り上げて伸びをすると爪先が立つ。長い黒髪に手を突っ込んで頭をかく。西勇人にしゆうとは違和感を覚えた。 「九十、背が伸びたか?」 九十が西を見上げる。背も横幅もある西に対し、九十は小柄だ。だが年頃の青年らしく体に厚 […]