創作アイデア・とな天小ネタ『救済の類型』
発端
「人を救うのは自分が救われたいからである」というネットの投稿を見て、自分なりに(創作における)救済動機の類型について考えたくなった。
また、自創作キャラクターを救済の類型にあてはめたくなった。
救済三性質
救済三性質とは、人が他者を救済する動機を以下三つの性質に分類できるとする考え方です。
- 報酬性
- 使命性
- 返報性
報酬性
救済によって報酬を得ることを期待する性質です。報酬として期待するものの一例が自己の救済です。
使命性
救済はそもそもするべきことであると考える性質です。報酬の有無は動機に関わりません。
返報性
救済は何かを受け取った対価として行う性質です。報酬性と違い、自身が行う救済には報酬を求めません。
受け取る何かの一例が他者からの救済です。
三類型について
動機を占める三性質の割合は人によって異なります。
一つの性質だけが強く出る人も、三性質をまんべんなく持つ人もいます。
三性質のうち最も強い性質を、その人の代表的な特性とし、型に分類できます。
例えば、報酬性が最も強い人を報酬型に、使命性が最も強い人を使命型に分類できます。
とな天キャラ分類
以上の理論に基づいて、自作品であるとな天のキャラクターたちを分類します。
九十九:報酬型
前提として、九十は三性質を満遍なく持っています。返報性と使命性を十分持つため、報酬が無くても他者を助けます。
その上で、最も強い性質を報酬性とし、報酬型に分類しました。
報酬型としての九十にとって報酬とは許しです。「他者を救うことで天使である自分が許されるような気がする」と考えています。
利田金星:使命型
利田は「他者を救うことは当然」と考えています。圧倒的に強い使命性を持ちます。
救われた他者を見て喜ぶことはあり、それが救済のやりがいとも思っています。
ただしその喜びを救済の動機にはしないので、報酬性は低いと言えます。
令城談:返報型
報酬性も返報性も強い人間です。報酬型・返報型どちらにも分類できますが、より強い動機である返報性を優先しました。
救済の対象は九十のみです。それ以外の人間は自分の力では救えないと令城は考えています。
救済の動機は恩返しです。令城は九十に救われたため、救い返すことを決意しています。
九十からもらう救済の分は返し尽くせないと考えています。なので九十に救済の報酬を求めません。
ただし九十を救うことで「大事な人の力になれた」という気持ちで満たされます。
また「大事な人の幸せな姿を見ることが自分にとっての幸せ」とも考えています。
九十を救うことで自己の幸せという報酬を得ていることにもなります。
西勇人:返報型
西は「他者に救ってもらったので救い返したい」と考えています。
西にとっては「救われた」というより「助けられた」という感覚です。
例えば、行く宛の無かった転生直後に同居を提案してくれた九十や、家事などの面倒を見てくれる十悦子に対し、自分も助けになろうとしています。
西は「自分は助けてもらった側」と考えています。なので自己の救済に対し報酬は求めません。
元々自身の行為に対し対価を求めない人間でもあります。その点は使命性とも言えるかもしれません。
あるいは他者からの期待が報酬とも言えます。例えば西の普通さに助けられ感謝している九十を見て、西はもっと頑張ろうと思う人間です。
以前書いた親友世界線の黒井に対しても同じことが言えます。
ただし利田と同じく報酬が動機にならないため、報酬性は弱い方です。
黒井弥吉:使命型……?
黒井は表向き「他者を救うのは当然」と言っています。
なので使命型……と思わせて、実は未類型です。
黒井は他者を救おうとは微塵も思っていません。他者が救われるかどうかなんてどうでもいいと思っています。
むしろ他者なんかより自分を救ってほしい、自分だけ救われればいいと本心で思う、とても自己中心的な人間です。
大事な人に関しては救われてほしいと願っていますが、自分では救えないと思っています。
もしくは同レベルまで堕としたいと思っています。
あえて分類するのであれば使命型です。
大事な人を救う・助けるのは当然だと考えているからです。
世界線によってはこの使命性が強くでます。
あとがき
キャラクターの救済の動機を考えるのが楽しかったです。こういう類型論は創作が捗るので好きです。
面白かったのは、報酬の有無や順番が利己性・利他性と相関しなかったことです。
救済動機の類型はとな天キャラクター以外でも行いました。
その中で、報酬型のキャラクターが利他的であったり、逆に使命型や返報型が利己的であったりしました。
報酬があっても無くても、先払いでも後払いでも、それだけで利己性・利他性は決定できないのかもしれません。
また今回は救済を三つの性質と累計に分類しましたが、もしかしたらこれ以外にも性質や類型があるかもしれません。
もっとこの理論を深めるのも面白そうです。
あるいは別の特性論・類型論でまとめてみるのもいいかもしれません。