創作アイデア『ブロマンス4』
発端
大勢の人に好かれるために少数の好かれてない人を無視する人を見た。
「見栄を張ることも見下すことも無いような自然体でいられる関係は本当の愛である」というSNSの投稿を参考にした創作がしたかった。
属性
人気者×日陰者
(ステータスで好かれてるが嫌われることが怖い人気者×ステータスで嫌われてる人間不信な日陰者)
キャッチコピー
見栄も虚勢もようやく少し無くていいと思えた
当世界観で表現する心情
強い信頼を築くために必要なのは、自分の臆病さを認めて、それを”少しだけ”乗り越えること
キャラクター
佐取
人気者の方。自覚的な流されやすいタイプのお人好し。中学三年生。
父親がPTA会長で、自身もクラス委員長。
自分のステータスや財力などでしか他人に好いてもらえないと思っている。
かわいいものが好きだがそれを他人に隠している。
宇田
日陰者の方。人間不信。中学三年生。
父親が殺人犯という噂があるがそれは誤解。
父は生活に奔放で、それが原因で母は逃げた
しかしその後父は本当に殺人犯になってしまう。
「人生別に一人でもいい」が口癖。
エピソード
嫌いな人、苦手な人
宇田は自分の環境が恵まれていないと思っており、自分と正反対の佐取が嫌い。なので基本佐取を避け、話しかけられると露骨に嫌な態度をとる。またメッセージアプリで佐取をブロックしている。
佐取は人に嫌われることが苦手。なので自分のことが嫌いな宇田とはできるだけ関わらないようにしている。また宇田は周囲からあまりよく思われておらず、宇田と関わると自分もハブられるという恐怖心があることも、関わらない理由。
強制的な班決め
お互い避け合う二人だったが、ある日強制的に関わる羽目になる。
きっかけは修学旅行。班決めで当然のように宇田がハブられ、見かねた教師が佐取に押しつけた。
男女二人ずつの班だったが、女子二人組の強制的な提案により「男子は男子で、女子は女子で回る」ことになる。結局修学旅行までお互いに会話は無く、どこを回るかということすら決められないまま当日を迎える。
最悪な修学旅行
二人が共に行動するのは二日目の自由行動と就寝時。
自由行動開始後も居心地の悪い二人。佐取は活動が無いことを教師に咎められたくないので、とにかく思い当たるところに宇田を引きずり回す。宇田は非協力的で、あげく以下の様な言葉を佐取に投げかける。
「修学旅行なんて名前ばっかりで、結局お友達同士で思い出作りがしたいだけだろ。お前が足引きずって過去の遺産なんか調べ回ったって、レポート一枚に収まって教師のご機嫌取りで終わるだけ。そんなんだったらこんなこと何もかも無駄だろ」
宇田のあけすけで嫌味な態度に佐取は段々腹が立ってくる。宇田のことは苦手だし、教師への面目のために連れ回していたけど、それでも少しは楽しんで欲しいと思っていた部分もあった。それを否定された気がしたのだ。
そんな宇田に佐取もあけすけでつっけんどんな態度を隠さなくなる。本心で話すようになった二人は、お互い攻撃的でありながらも、必要な会話や何気ない会話を途切れず話せるようになっていた。
ルール違反の修学旅行
二人がそれまで回っていたのは京都府内で、府外に出ることはルールで禁止になっていた。
次の目的地に行くために二人は電車に乗る。佐取は路線図の書かれた紙を見て、あることを思い出す。府外には有名なテーマパークがあり、今まで欲しくても買えなかったテーマパーク限定グッズが売っている。
佐取は宇田に、そのテーマパークに行くことを提案する。理由を求められ嘘を吐いたが、直後テーマパークを批判する宇田の発言に言い返してしまい、そのテーマパークが好きなことが宇田にバレてしまう。「よりにもよってこいつに!」とバレたことを恥ずかしがる佐取。
結局宇田はテーマパークに行くことを了承する。理由は「優等生がルール破って自分が好きなだけの観光地に行くの面白いし一生脅せそうだから」。「お前がチクっても誰も信じないだろ」と返す佐取。
隠しているもの
いざテーマパークに到着するとめちゃくちゃはしゃぎ出す佐取。アトラクション一つ一つにうんちくを語り、乗ってる最中は全力で楽しみ、乗り終われば感想を喋りまくる。普段のテンションとの違いに気圧される宇田だが、そんな佐取とテーマパークで遊ぶことで、テーマーパークへの嫌悪感を無くしむしろ楽しんでいた。
二人が特に盛り上がったのは、青い怪獣のマスコットがいるアトラクション。その怪獣の元ネタ映画が宇田は好きらしい。佐取のキャラクターに関する知識と宇田の映画の知識、そしてアトラクションの演出が噛み合って場が盛り上がる。
テーマパークを回っている最中、二人は同じ学校の生徒四人を目撃する。同じようにルールを破って来た生徒だろう。先ほどまでの昂揚と裏腹に萎縮する佐取。それを見た宇田は、なるべく見つからないように行動した方がいいと諭す。「オレといるとこ見られない方がいいだろ」その宇田の言葉を佐取は否定できない。
二人は同じ学校の生徒に見つからないうちにテーマパークを出ることする。「せっかく来れたのに」とこぼす佐取に、「また来ればいいだろ」と返す宇田。「大人になったら一人で勝手にどこでも行けるさ」。その言葉に佐取は宇田との距離を感じる。
佐取は最後におみやげを買うことを強く提案する。おみやげ屋で宇田にキーホルダーを差し出す佐取。青い怪獣のキーホルダーで、同じ物をもう一つ手に持っている。宇田に意図を尋ねられ、うろたえながらも答える。
「別に鞄とかに付けなくていいし、俺も……多分付けられない。ただ今日お前とここに来て、楽しかったってことは、嘘にしたくない」
二人は共にキーホルダーを購入する。佐取は全て自分が買うことを提案したが、宇田は自分で自分の分を買った。いわく、「オレが楽しいと思ったんだから、オレが自分のために買うんだよ」。
帰ってきてから
修学旅行の自由行動後、二人の間にはよそよそしい空気が漂っていた。それは旅行から帰ってきた後も続いていて、自由行動中の自然な会話は失われていた。
それから宇田の父が本当の殺人犯になり、宇田が不登校になる。
宇田の家に行こうとしても勇気が出ない佐取。
その後宇田が転校したことを、転校から一ヶ月後に知る。
少しの臆病さと勇気
宇田転校から数ヶ月後。佐取は思い切って、宇田のメッセージアプリにメッセージを送ることにする。メッセージ内容は「修学旅行の写真を送り忘れていたから送る」(嘘ではないが本当でもない)。ブロックされていることは以前明かされておりダメ元の試みだったが、宇田から「ありがとう」のスタンプによる返事が来る。いつの間にかブロックを外していたらしい。
再会
佐取はテーマパークのグッズショップで一人一個限定のグッズが販売されることを知る。店頭販売のみだが、販売期間後はオンラインショップで受注生産の受付が始まる。
佐取はこのグッズを複数欲しいという動機を理由に、宇田に会う約束を持ちかけ、宇田も了承する。
当日、控えめだがこぎれいな格好をした佐取とは裏腹に、よく言えばラフな、悪く言えばだらしない普段着で現れた宇田。少し体調が優れなそう?
ショップまでの道のりでたどたどしく会話が始まる。最近の事情や受験、学校の話題で気まずく牽制し合い、次第に限定グッズを購入する層に小言を言い始める宇田。佐取が反論し、大体お前の格好まるで転売屋だろ、店員に疑われるに決まってると文句を言いだす。最初に呼んだのそっちだろ、だってそうでも言わないと来ないだろ。そこで会話が止まって、また気まずい空気が流れ始める。
その空気のままショップに到着。店内でグッズの棚を見つけ、吟味し始める佐取。「どれ買ったって一緒だろ」と苦言を呈する宇田に、「全然顔違うから」と返す佐取。グッズとはキャラクターを模したぬいぐるみ。一番かわいい顔の子が欲しいと言う佐取、じゃあオレはこの不細工なやつと言いぬいぐるみを手に取る宇田。
「変わってるなお前」
「むしろそこまで顔にこだわる理由がわかんねぇけどな、オレは」
「ずっと手元に置いておくんだから、愛着湧く方がいいだろ」
「ならむしろ、他とゼッタイ違うってわかるこいつの方が愛着湧くけどな」
その宇田の言葉に、それもそうかもと首をひねる佐取。悩み抜いた結果、最終的に宇田の選んだぬいぐるみと似た顔の物を選ぶ。選んだ理由は「宇田のぬいぐるみと兄弟みたいでかわいいから」。「お前こそ変わってる」と笑う宇田。
帰り道、佐取は「たまに連絡してもいいか」と尋ね、「勝手にすれば」と返す宇田。それからメッセージアプリでたまに何気ない会話をするようになる。
病
何度かやりとりを繰り返したある日、佐取が遊びに誘うと初めて「ムリだ」と返信される。佐取はついに嫌気が差したのかもしれないと恐れ一瞬「わかった」と返信しかける。しかし諦めきれず、また諦めてはいけないような気がし、「なんで」と尋ねる。
かなり遅れて返ってきたメッセージに添付されていたのは病室の写真。写真の端にはキーホルダーを握りながらピースする手がためらいがちに映り込んでいる。その手とキーホルダーは宇田のものだ。「どこ」と尋ねると、病院周辺と思われる地図のスクリーンショットと四桁の数字が送られてくる。推理ゲームじゃないんだぞ、と軽くいらだつ佐取。
宇田を説得し情報を引き出したこともあり、なんとか病院と病室を特定し、お見舞いに行く。病室に入ると、やつれた宇田が、怪訝そうに、しかしどことなく安心した風に佐取を見る。ベッド併設の机には二人揃って買ったキーホルダーとぬいぐるみが置いてあった。
宇田いわく、宇田がかかった病気はそうたいしたものではなく、手術すればすぐ治るらしい。「だから見舞いにくるような病気じゃねえんだよ、マジ大げさ」と宇田。「じゃあ手術するんだな」と聞くと、宇田の返答がまごつく。
宇田は手術を受ける気が無いと言う。理由として、現在父方の実家にいて治療費も払ってくれているが、父がすでに多大な迷惑をかけているのに自分まで負担になりたくないこと、実家側もおそらく父同様腫れ物の孫に金をかけたくないと思っていること、別に治らなくても生活はできることを挙げる。
「本当のこと言えよ」佐取が投げかける。「本当はもっと悪いんだろ、病気」
宇田のやつれ方、機械や点滴に繋がれた腕、宇田の入院先を調べる際、宇田の病室があるエリアが特定の重病患者の入院するエリアと知ったことを、自分が疑う理由として挙げる。
粘る佐取の説得に負けて宇田が本当の病状を説明する。宇田がかかった病気は決して軽い症状ではなく、放置すれば死に至る上に治療には少し難しい手術が必要だが、現代医学において治療が困難な病気でも手術死亡率の高い病気でもないらしい。本当だな、と佐取が念を押し、宇田もしおらしくうなずく。
なぜ手術を受けないのか尋ねると「怖いから」と返ってくる。
「死ぬかもしれない手術、怖くないわけないだろ。それで、怖え思いして、治ったって、麻酔から覚めたときオレが生きてること誰も喜ばないんじゃねえかって思うのが、一番怖え。だったら、ちょっと苦しいかもしれねえけど、今自然な形で死ねんなら、それが一番マシな気がしたんだ」
「俺は」佐取が口を開く。「俺はお前に生きててほしい」
「そう思ってなきゃ、あんなクソみたいな返事でここまで来ないだろ。……それに、その、まだ一緒に行ってもらってないショップ、あるし」
宇田が涙ぐみながら力を抜くように笑う。
「利己的な理由だな」
佐取が気まずそうにする。
「いいよ、そんな理由でも、生きててほしいって思われてるだけ嬉しいから」
「……お前と行くから楽しいって思ってるんだからな」
「わかったわかった」
「信じてないだろ」
「まあな」
悔しそうにすねる佐取。
「手術、ダメ元でやるよ」
宇田が呟く。
「お前がオレといて楽しいとかは、まあ信じてねえけど。でもオレは、オレが、お前とまた遊びに行きてぇからさ。
だから、いつになるかわかんねぇけど、飽きるまでは待っててくれよ」
別に飽きないし、と答える佐取。
エンディング
宇田の手術は成功し、その後二人はたまに話したり会ったりする関係を続けている。
会うたびに喧嘩する二人だが、佐取は宇田に飾らない自分についてを話せるし、宇田は佐取に後遺症等の問題に対し支援を求めることができる。
大人になった二人が思い出のテーマパークに遊びに行ったところでエンド。
問題点
- どちらの目線から物語を書くべきかわからない。二人にはそれぞれ別の抱えている問題があり、それを説得力持って説明するには、片方目線の物語では情報不足なのではないか
- ストーリーが説明できるコンテンツにしたい(創作活動全体の課題)
- 宇田の序盤の性格が悪すぎる。『最悪な修学旅行』までに読者が脱落するのでは。
解決策
- 前後編に分ける。前編は佐取目線で、エピソード『嫌いな人、苦手な人』から『病』冒頭まで。後編は宇田目線で、前編『病』までの物語の内、宇田と佐取で抱えている感情が違っていた部分を描写。その後『病』の結末までを描写、エンディング。前編と共通する部分はダイジェスト的でよい。
- 二人それぞれに達成目標を作り、それを達成するまでをストーリーの主軸にする。佐取の達成目標は「見栄のいらない友人関係を作ること」。宇田の達成目標は「虚勢を張って他者を拒絶せず頼ること・期待すること」。
- 宇田の本質を細かい描写で出すしかない。宇田が他者に否定的なのは自己防衛的な反応で、良く言えば「その気遣いは自分に必要無いから心配するな」という思いやり、悪く言えば虚勢。読者にもそう思わせる描写が序盤から必要。また、他者を否定させるよりも自己を否定させることを優先する。例えば「オレなんかと班行動しなきゃいけないなんて、優等生も大変だな」など。
小ネタ
記事執筆の参考資料にするため甘翼過去記事の下書き眺めていたとき、書いただけ書いて投稿していない本記事を発見し、現在の手法で再構築し投稿した。