とな天小ネタ『利田金星の誕生日』
前置き
四月十七日は利田金星の誕生日です。記念にちょっとしたイラストを描いてみました。
令城談、九十九の誕生日と同じく、天使事件が起きずに年を越せた世界線の光景です。
令城と九十の誕生日の後の話なので、九十は高校三年生になっています。
解説
九十が利田に贈ったのはキーケースです。普通の鍵だけでなく車の鍵やカード、小銭も入るタイプのキーケースです。
利田は散歩や買い物などの短時間の外出の際、鍵や小銭をポケットに入れて出かけます。鍵は都度必要なものを選び、小銭は財布から片手分つかみ取ってポケットに入れます。
本人はこの習慣に不満を持っていませんでしたが、この習慣を見た九十は、もっと便利になったらいいのにと考えていました。
気軽に出かけたいのに、鍵を選んだり財布からわざわざ小銭を取ったりするのは、なんとなく手間であるように思えたからです。
ただこれをどうすれば便利にできるのかは分かっていませんでした。
そのことを黒井に相談したとき、キーケースの存在を教えてもらったので、キーケースを贈ることに決めました。
キーケース選びは令城に協力してもらい、共にショップ(ネット含む)を回って決めました。
九十はプレゼントを選ぶ際、あることで悩みました。長く使えるいいものを渡すか、すぐに消費できる気軽なものを渡すかです。前者がキーケース、後者は食べ物や花などです。
本編おまけエピソードで利田と話したことを覚えていた九十は、気軽なプレゼントを渡したいという気持ちもありました。
その上でキーケースを選んだのは、最初に渡す誕生日プレゼントは特別な物にしたかったからです。小学生の頃は何も贈れず、それから八年はそもそも会うことすらできませんでした。まずは今まで伝えられなかった感謝を伝えて、それから気軽な物を送り合いたいと九十は考えました。
ちなみに黒井と令城は何も贈っていません。元々頻繁に贈り物をする性格ではなく、「どうしてもこの贈り物でしか気持ちを伝えられない」と思ったときのみ贈り物をします。
また黒井と令城は、自身の贈り物に価値はないと思っています。これもあまり贈り物をしない理由の一つです。
本編おまけエピソードで中学生の黒井がピアスを贈ることを躊躇していました。これは「自分が贈り物をしても喜ばれないんじゃないか」と不安だったからです。令城も同じような考えを持っています。
特に二人は利田に対して、自分より優れている・満たされていると感じています。なので余計に「自分なんかから贈り物をされても喜ばないだろう」という意識が強くあります。
とはいえ今回二人は、九十の贈り物選びに関わっています。間接的ではありますが、利田に贈り物ができたことを裏で少し喜んでいたりします。
ただ二人はこの後天使事件を起こすつもりなので、最後に贈る贈り物として、寂しさや後悔の混じった少し複雑な喜びです。