『愛とはあなたを破壊する魔法』制作記録十六
進捗
スチルを描いたりデバッグをしたりしました。
スチルがすべて描き終わり、ゲームとして通しで遊べる状態になりました。
立ち絵表示システムについて
ティラノスクリプト版において、制作当初から課題になっていた部分がありました。
「表情変更時に口がちらつくことがある」という不具合です。
例えば開いた口から閉じた口になるとき、開いた状態と閉じた状態の間に、一瞬「何も表示されていない状態」が挟まってしまいます。
特定のキャラでは表情変更の度に口のちらつきが起きていたため、ゲームへの没入感がそがれていました。
解決方法は、「同じ場所に表示されるパーツは同じパーツ名で登録する」です。
愛まほの表情変更システムは、ティラノスクリプトにあるタグを改造して構築されています。
システムのざっくりとしたフローは以下の通りです。
- 表情変更タグで変更する表情を指定する。
- 台詞のキャラ名変更タグの中で、表情を変更する。
- 台詞を話しているキャラ(話者)の口を開く。それ以外は閉じる。
愛まほでは、話者の口が開きそれ以外の人物の口が閉じる、少し特殊な口パクシステムがあります。
一般的に口パクと言うと、話者の口が開いたり閉じたりする、「本当に話しているような演出」が主流であると思われます。
ティラノスクリプトでは最近、デフォルトのタグで口パクができるようになりました。
ただこのシステムは一般的な口パクを実現するものであり、愛まほで実現したいシステムでは使えませんでした。
そもそも愛まほを作り始めた頃にはまだこのシステムはありませんでしたが、今回の不具合を解消できるようであれば組み込むつもりでした。
結局既存の自作システムを修正して使うことになりました。
不具合が出ていた部分は、「口の開閉処理」の部分でした。
ティラノスクリプトでは、表情のパーツごとに差分を登録することができます。
例えば「眉」「目」「口」のようにパーツを登録し、「笑っている眉」「悲しんでいる眉」「怒っている眉」のように、パーツに対し差分を登録することができます。
システム修正前の愛まほでは以下のようにパーツを登録していました。
- 眉
- 目
- 閉じている口
- 開いている口
問題の原因は最後の二つ、「口」の状態を別のパーツとして登録していることにありました。
口の開閉は「一度閉じた(開いた)口を非表示にした後、開いた(閉じた)口を表示する」というシステムで動作していました。
この「非表示」が一瞬で行われないため、開閉の間に非表示の状態が挟まってしまい、ちらつきの原因になっていました。
仕組みはわかりませんが、同じ「口」のパーツとして登録し、開閉の差分を変更すれば、非表示の状態は無くなりました。
最終的に表情変更システムのフローは以下のようになりました。
- 表情変更タグで変更する表情を指定する。
- 台詞のキャラ名変更タグの中で表情を変更する。このとき、キャラの口の状態を記憶しておく。
- 台詞を話しているキャラ(話者)の口を開く。それ以外は閉じる。2で記憶した口の状態と開閉を合わせた差分名で表情を変更する。
3は、例えば「笑っている口」の差分に変更する際、「笑っている閉じた口」「笑っている開いた口」のように指定します。
以上のようにシステムを組み直すことで、口のちらつきは無くなりました。
今後について
デバッグ後、ティラノスクリプト版をノベルゲームコレクションで公開します。
Ren’py版の公開場所に悩んでいるのですが、おそらくBOOTHになると思われます。
当初、ふりーむでの公開を考えていたのですが、制作中にふりーむのレーティング制限が厳しくなったため、おそらく公開は無理だろうと判断しました。
愛まほは、一般的にはR18とは言えず、R15程度が妥当かと思われます。
ただふりーむの基準においては、どう表現を修正しても、R18と判断されるように思います。
ふりーむにおいて現在R15作品がどのような扱いをされているのかはわかりかねます。R15としてなら公開は可能なのかもしれません。
しかしR18の可能性がある作品をあえて投稿するのは良くないと考え、当分の間は投稿を控えることにしました。
ふりーむもレーティング制限については試行錯誤しているようなので、動向を追うつもりです。
公開日は八月二十三日を予定しております。
Webイベント「関係性自論5」に合わせての公開です。
その日までに、作品の没入感をそぐような不具合を修正して、スムーズに遊べるゲームに仕上げたいと思います。
最後の最後までがんばります。