140字小説カードを作る
概要
140字小説を載せた名刺サイズのカードを作ってみました。
備忘録も兼ねてカード制作について書いていきます。
サンプル
印刷用ファイル
実際に印刷に使用したPDFファイルです。
組版用ファイル
実際に組版に使用したWordファイルです。
Googleドキュメントでの表示とWordでの表示に差異があります。Googleドキュメントからダウンロード後、Wordで開き、下記「Wordについて」の通り設定すると、正しい表示になります。
vivliostyleで使用したテーマです。
上記組版用ファイルはテンプレートとして使用していただいてかまいません。
Word版、vivliostyle版で概ね同じレイアウトですが、両者の仕様差異から統一できていない部分もあります。ご了承ください。
組版
組版にはword、vivliostyleを使用しました。
(word、vivliostyleでそれぞれ一種類ずつ制作しました。)
組版は、名刺サイズの用紙設定ができるソフトウェア・システムであればなんでも使えると思われます。
禁則処理をさせたくない場合は、禁則処理の設定ができるソフトウェア・システムを使用するのがよいです。
wordについて
つまづきやすいのは、禁則処理の設定と、ヘッダー・フッターの設定だと思われます。
禁則処理は、「ファイル」から「オプション」を選択し、「文字体裁」から設定可能です。
以下の設定を行いました。
- 禁則文字はユーザー設定からすべて空欄にする。
- カーニングは半角英字のみ。
- 文字間隔は詰めない(140字が均等に敷き詰められているレイアウトのため、文字を詰めるとレイアウトが崩れる)。
なぜかwordのファイルを開き直すと禁則処理の設定が消えていることがあります。都度設定し直すことで解決しました。
ヘッダー・フッターの設定は以下の部分でつまづきました。
- 二種類以上の情報を入れた場合、どのヘッダー(フッター)でも余白を自動で設定する方法がわからない。
- ページごとに情報を変える方法がわからない。
1の問題はタブを挿入することで解決しました。
1 <ここにタブを挿入> タイトルなど
上記のように、余白を入れたい部分にタブを挿入します。
空白文字で調整する方法と違い、ヘッダーごとに文字数が変化してもきれいに余白が保たれます。
2の問題はページ区切りを行うことで解決しました。
ページ区切りを挿入後、「ヘッダーとフッター」タブの「ナビゲーション」から「前と同じヘッダー/フッター」を解除することで、前ページとは異なる情報を入力することができます。
今回の140字小説カード特有の問題だと思われる点として、「ページ区切りを挿入すると次ページのレイアウトが崩れてしまう」問題が挙げられます。
文字間隔の調整のため余白をギリギリまで詰めていることが原因ではと考えていますが、実際のところはよくわかりません。
「現在の位置から開始」を使用して改ページをすると、問題なく改ページできるときとできないときがありました。
改ページ後いったんヘッダーを編集してから、改ページを削除することで対処可能です。
Wordはあまり使用したことがないため、おそらく初歩的なことでつまづいていると思われます。
それでもWordはネット上の情報が豊富なため、問題点を調べればすぐ解決策がわかりました。
vivliostyleについて
vivliostyleとは、HTML・CSSを用いて組版をする組版システムの一種です。
無料で使えます。
HTML・CSSを使い慣れていて、Node.js(Javascript)に抵抗が無い方にはとてもおすすめできる組版システムです。
はじめてvivliostyleに触れる方(特にNode.jsという言葉が聞き慣れない方)は、公式サイトのチュートリアルに沿って進めるとわかりやすいと思います。
印刷用紙
Seriaで購入した紙を使用しました。
その他
- カードに使った作品は、現在制作中の書籍『短く永く』に収録予定の話と、没になった話から選びました。
- 印刷の際、プリンターによっては一回り小さいサイズで印刷されることがあります。その場合は、実際のサイズで印刷する設定にすると指定サイズ通り印刷されます(例:Acrobat Readerのページ処理で「実際のサイズ」を選択する等)。
- 角丸の紙でインク汚れが発生する可能性が高いかもしれません(プリンターが古いことが原因の可能性もあります)。
完成品
とてもかわいいです。
一枚目画像の上段がWord版、下段がvivliostyle版です。
紙が変わることで印象が大きく変わります。話の雰囲気に合わせて紙を選んでみても楽しそうです。
デザインにこだわって、飾り帯を付けたり、挿し絵を入れたり、裏面にデザインを印刷したりしてもいいかもしれません。
五月二十日追記
紙を追加で購入して印刷しました。
ディスプレイ道具もSeriaで購入しました。「押しを飾れるカードスタンド」と「ディスプレイケースミニ」の底部分を使用しています。
何かをしたいと思ったとき、手軽に・安価に道具が買えるので、Seriaにはいつも助けられています。
感想
かわいいカードができて満足です。
電子上の140字小説名刺も魅力的ですが、実際に印刷することで一種の所有欲のようなものが満たされるような気がします。
もっとバリエーションを楽しみたいので、いろんな紙が欲しくなりました。
また作ろうと思います。